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ビケングラフィック株式会社

Update: 2017.01.18|Categoryよみもの

Photoshopやアプリで簡単に画像加工できる時代。

でも、いくら簡単にできるようになったとしても、プロじゃないとできない仕事があります。

東京都墨田区にある、ビケングラフィックは創立以来、製版業の仕事に携わってきました。
より美しい製品を世に出せるよう、日々技術を磨いているのだそう。

Print

そもそも製版会社って、具体的にはどんなモノを作っているのでしょうか?
ビケングラフィック 専務取締役 小倉さんにお話を聞きました。

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−御社は、どんな製品を作られているんですか?

小倉さん「主におもちゃや化粧品、健康食品関係の会社と仕事をしていて、商品パッケージや販促物を製作しています。また、大型家電店でよくみかける、家電や美容機器のPOPや什器も作っています。POPや什器と言うのは、商品周りに設置されているパネルや紙製の商品陳列台のことを指します」

− そんな身近にあるものを作られていたんですね。普段からよくみるものなので今まで意識したことがなかったのですが、どんなところにこだわりを持ってモノヅクリをされているんですか?

小倉さん「例えば、家電量販店にある美容機器のパネル。美しい女優さんが広告に出られていると、思わず買いたくなりますよね? でもそんなとき、女優さんの顔がくすんでいたり、パネルの色味が悪いと台無しです。場所や照明によって見え方が変わりますし、デザインによっては並び方で違う色に見えてしまう。というような目の錯覚もあるので、実際に店舗へ足を運んで下見を行います。

照明がどんなものなのか、置かれる場所はどこなのかをチェックし、並びとのバランスもみて蛍光灯の下でも美しい色が出るように、色味を調整しています。商品が置かれたときの相性もありますしね。あとは、メーカーさんが分かりやすく、組み立てやすくてかっこいいもの。というところも大事にしています」

−そんなところまで! 確かに画面でみる色と実際に出力した色では全く違いますもんね。
紙に理想的な色を出すことって難しそうです…。

小倉さん「そもそも製版業というのは、印刷工程の前に写真や文字をはめていく作業です。昔はすべて手作業で、CMYKフィルムを4枚作るのに何十枚ものフィルムが必要だったりと、だいぶ特殊…かつ根気のいる仕事でした。

Macの台頭で、製版工程は一気に縮小しましたが、その基盤があったからこそ、“色の再現”というところに、かなりこだわりがあるんです。近年は、画像補正にも力を入れています」

 

The magnifying glass standing on a leaf of the test print

−画面だと理想通りの色。だけど紙に刷って理想の色を出すことはなかなかに難しい。

小倉さん「実は、特にグレーは難しい色なんです。無限に近いくらい色があり、赤味ができたり、青味だったりと、印刷表現しにくい色なんですね。お客様の『こんな色を出したい!』というイメージをリスニングし、バランスをみながらデータを作ります。この紙に刷ってみたけど、出力したら違う色が出た。ということもありますが、知識や経験を積み重ねて来た社員たちなので、だいたいこんな色になるな。ということが分かるんです」

−…先ほどからお話を伺っていると、随分と気を遣うところが多いように感じます!
そういったことは学校で勉強されるんですか?

小倉さん「最初はDTPの学校に入学し、卒業してからは現場で学び、とにかく経験を積みました。その後は営業業務も。最近新しい機械をいれまして。いろいろなものに印刷ができる。立体物にも出来る。アクリルにも印刷できる。昔は専門の職人、専門の機械でないと無理だったことが、最近は新しい機械でどんどんできるようになっていて、本当に楽しいです。技術はどんどん進化していますね。フィルム製版をやっていたときからの材料屋さんとの繋がりがあるので、色々情報をくれるんです」

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−仕事をされていて、嬉しいな〜と思うときは、どんなときですか?

小倉さん「お客様から、『色、ばっちりだったよ!ありがとう』と言われることが、やっぱり一番嬉しですね。あとは、完成したモノをみたときも嬉しいです。PC上で作業していたものが実物として出来上がったときの存在感や威圧感が大きいので、みると達成感が湧きます」

 

− 小倉さんの色にかける想い、たくさん聞けて愛を感じました。
本日は、ありがとうございました!

 

 

文/東山サリー

INFORMATION

ビケングラフィック株式会社

東京都墨田区本所3-7-16
http://www.biken-g.jp/