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OTUTUMI / 丸和繊維工業

Update: 2016.11.14|Categoryよみもの

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本来こだわらなければいけない縫製技術の究極を求めた動体裁断®

 

丸和繊維工業の歴史は1965年にメリヤスの肌着製造から始まりました。

 

創業以来、「着心地の良いものを」という気持ちをずっと大切にしながら、モノづくりをコツコツ続けています。

最近はシャツやポロシャツを中心とした大手アパレルメーカーのOEM生産も多くなっていますが、独自の「動体裁断®」を取り入れたオリジナルのファクトリーブランド 『INDUSTYLETOKYO』を開発しています。

 

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なぜ動体裁断®が生まれたのかを、丸和繊維工業の常務取締役の伊藤さんはこう語ります。

 

「INDUSTYLETOKYOのシャツは通常のシャツよりも、着心地を考えたためパーツの数が多くなっています。そのため、縫製の手間も多くなりますし、カーブを縫うのでミシンの縫うスピードを落とさざるを得ないんです、早く縫うとパッカリングをおこしてしまうので。そうすると必然的に1日に仕上げなければいけない縫製の枚数が減るので、値段が高くなります。大手メーカーではここまでのこだわりを追求しても、売り上げが劇的に変わるというわけでないので、むしろコストを下げるために、こういった手間を必要とされません。コストや価格を下げるためのそういった状況に、本来こだわらなければいけないモノづくりが、傾いてきてしまったのですが僕たちはファクトリーなので、真逆のことをやろうと思ったんです、一切手を抜くことをやめようと。それがファクトリーだからできる縫製のこだわりや技術を反映させた、最高の着心地を実現する自社独自の動体裁断®が生まれた理由なんですよ」

 

このシャツは洗濯機でガシガシ洗えるし、ノンアイロンでもOKということで、ビジネスマンだけでなく、幅広い層から人気を得ているのです。

 

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こだわりの技術が詰まったポロシャツが宇宙船へ搭載

 

「実は2009年5月の朝礼で、宇宙飛行士に着てもらうシャツを作ろうと宣言しました」と語る、伊藤さん。日本で販売されるニット生地製品のうち、日本製はわずか3%しかありません。“その中で何とか日本の技術を残し、他に負けないものを作りたい”との同社社長の深澤隆夫氏の思いからこの物語は始まったそうです。

 

そのため社員のやる気を盛り立てようというドリームプラン宣言でした。目指したのは、立体裁断の美しさに動きやすさを加えたシャツの実現。それまでの立体シャツは、横方向のシワが出ないようにきれいに仕立てられましたが、着ている人は動くにくいという経験があったのです。そこで探し当てたのが、墨田区在住の機能系被服デザイナーの中澤愈教授が考案した前述の「動体裁断®」でした。ヒトの皮膚の動きを解剖学的に研究して服の型紙製作に応用し、動きやすく着崩れない服をつくるという技術です。ただし型紙は従来の約2倍必要で、裁断した多くのニット生地を美しく縫い合わせるには高い縫製技術も必要。まさに同社が挑戦するのに十分な新製法でした。

 

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そして、この宣言から半年後、なんと本当にJAXAが宇宙飛行士用の船内服の公募を発表します。

「私たちは総力を上げて動体裁断のポロシャツを開発して応募しました。最初の審査を通過してみんなで喜び、2009年の年末に遂に最終審査をパスして、2010年の春に宇宙船への搭載を実現したのです。JAXAからご案内いただきケネディ宇宙センターでの打ち上げに立ち会うことができました。まさに夢が実現した瞬間で、最高の気分でしたね」と、伊藤さんは誇らしそうに語ってくれました。

 

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日本人の琴線に触れる風呂敷風の“おつつみ”

 

 

丸和繊維工業の挑戦は、宇宙に行ったポロシャツだけに留まりません。

現在は、日本人の美徳である「おもてなし」の心を布で表現した『OTUTUMI-おつつみ-』が大ヒット中。

「同社のファクトリーブランドをフランスに売り込みに行った際に、海外のバイヤーからモノはいいけど、パッケージが良くないと指摘を受け、海外市場も視野に入れて、パッケージを練り直していた時に、日本のおもてなし文化を表現するため、風呂敷をベースにしたパッケージはかなり反応が良かったんです。そこで、開発したのが『OTUTUMI-おつつみ-』でした」。海外だけじゃなく、日本文化を見直した結果、国内でも好評だそうです。

トップラインは、創業180年の老舗ゆかた、竺仙と協業した両面プリントのシリーズ。また地元である東京都墨田区にゆかりがある、葛飾北斎の絵画をモチーフにした柄を配置した大江戸ラインなども展開。最近ではインターナショナルで活躍するアーティストやブランドと協業したミックスラインなども揃えます。

日本人ならではのおもてなしの心をパッケージに取り入れた斬新な発想は、まだまだ大きなポテンシャルを秘めています。

個性的なアイデアをカタチにする技術力を備えた、丸和繊維工業。今後の動向にも注目が必要なようです。

 

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OTUTUMI

http://otutumi.tokyo/