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“金網のプロ”としての技術を磨き、独自性のある商品を提供していく。|石川金網

Update: 2021.01.05|CategoryTOPICS, よみもの

東京・荒川を拠点とする石川金網。その名の通りに金網製造が主業務で、私たちが日常生活で目にする金網はもちろん、自動車部品や産業機械など幅広い用途で使われる金網を製造している。
「明治時代、私の4代前が、まだ国内ではごくわずかな輸入品しかなかった自動織機を自主開発したのが転機だったようです」と話してくれたのは、同社代表取締役社長である石川幸男さんだ。

 

「その自動織機で金網製造に着手したのが3代前で、1922年に当社が創業されたのです」
先の大戦を挟んで拠点を変遷するも、まもなく荒川に集約。工場や倉庫など関連施設のほとんどが本社ビルに隣接し、意思伝達や移送コストにおける無駄を省力している。石川社長は2004年から同職に就任。幼い頃からモノヅクリが好きで、加工機械が所狭しと置かれた工場で育ったと話す。

 

事業のメインとなっているのが押出機用フィルターの製造だ。押出機とは、さまざまな媒体を圧縮し、金型の開口部に通して押し出す工業用機械のこと。プラスチックや化学繊維などの成形に用いられるもので、フィルターとして精密な金網が必要になる。高品質な金網を提供する、石川金網の実力を発揮できる分野だ。
「世界で普及しているどの機械でも対応できるよう常に研究し、豊富なラインナップを用意しています。すべての金型を自社で揃えていますので、お客様からの受注があればすぐに製造工程に移れますし、在庫があれば即納できます。当然大量生産で作ってますから、価格をお安くできるのも特徴です」
現在は、この押出機用フィルターの製造が事業売上の約4割ほどを占めているという。
「今、世界ではリサイクルに注目が集まっておりますが、プラスチックの再生には押出機が欠かせません。濾過効果や耐熱性といった性能を考えると、金属製の金網に代わるフィルターは今のところ考えられず、リサイクルの機運が続く限り金網の需要も増していくものと考えています」

この他に手掛けているのが、自動車のフィルターや工業プラントで用いるフィルター、建築資材などだ。以前は、図柄をデザインした超高層マンション用手すりも主力の一つだったが、マンションの低コスト化に伴って需要は減少しつつあるという。
「時代に合わせてドラスティックに転換していくことも重要です。同じ仕事に固執していては、今の当社はなかったでしょう。押出機のフィルターを豊富に取り揃えている点もそうですが、他社にできないことを提供できるのが当社の強み。他と同じことをやっていて、コスト競争に陥ってしまうのは避けたいのです」
豊富な知識を背景に、課題解決のための提案も積極的に行っている。例えばステンレス製フィルターの相談を受けた場合でも、必要であれば他素材を使った場合の耐久性や効率の変化も提案し、課題解決の方法を一緒に探っていく。素材、織り方、形、フィルトレーション(濾過性)……金網のプロフェッショナルとしての知見を遺憾なく発揮し、多くの企業から信頼を勝ち取ってきた。

 

2017年には、初のBtoC商品として「ORIAMI」を発売した。極細の金属線で織り上げた世界初の金網の折り紙で、熟練職人の遊び心から誕生したという。かつてない存在感で業界から大きな驚きを持って受け止められ、石川金網の技術力を一般にも広く宣伝するきっかけにもなった。
「もともと爆発的にヒットする商品とは考えていませんが、徐々に認知も広まり、次第に売れるようになってきました。今度の新商品として、抗菌マスクも開発しています。99.99%の純銅には優れた殺菌作用があることがわかっており、マスクに純銅フィルターを組み込ませた製品を作ろうと考えているのです」
BtoC商品の企画は特定の部署やチームが主導しているのではなく、営業や製造現場全体で考えているのだという。自由に意見を言える風通しの良さに加え、全社を挙げてイノベーションを起こそうという気運があふれている結果だ。
「リーマンショックや東日本大震災による不況を経験して、みなでどんどん工夫し、変化していかなければいけないと強く考えました。たとえば自動車本体に組み込むフィルターは、以前は売上の約4割を占めていましたが、リーマンショック後の不況とサプライチェーンの変化によって1割ほどにまで縮小しています。

 

それでも痛手を引きずることなく済んだのは、自分たちの能力を常に磨き、新たな商品を提供していく姿勢を貫いたからです。社会情勢を注視しつつも、過度に振り回されることなく、自分たちにできることを追求すべきだと考えています」

石川金網が東東京モノヅクリ商店街に参画したのは、今年で2回目。前回は「ORIAMI」の商品化を果たし、今回は海外用パッケージの改良や導入用キット商品の開発のために再びの参画となった。
「やっぱり、商店街という形でみなさんと一緒にやるというのが、すごくいいんですよね。展示も同じようなコンセプトを持つ会社が集まることで集客力も高まりますし、宣伝活動に大きく貢献できています」

 

 

コロナ禍は製造業全体に大きなダメージを与え、石川金網にも少なくない影響をもたらしている。
「こうした状況になり、やはり特異な技術力を有していることの強みを改めて感じています。そのためには、気後れすることなく設備投資をしていかなければなりません。また、他社ができないような品質保証も実現していきたく、メーカーとしての技術力をさらに高めていきたい。そうしたことに意識や経営資源を集中し、魅力的な商品を提供していきたいと考えています」

INFORMATION

石川金網株式会社

所在地 : 〒116-0002 東京都荒川区荒川5-2-6
電 話 : 03-3807-9761
URL :https://ishikawa-kanaami.com/

金網折り紙「おりあみ/ORIAMI®」
URL : http://ishikawa-kanaami.com/kanaamiorigami/