ギャラリー&焼き菓子のお店「from afar,」。
中国出身のテイさんが、2人の友人と一緒に作ったのがこのお店。
もともと倉庫だった場所を改装し、2015年8月にオープンさせた。
大正時代に使われていた食器棚や、駄菓子屋で使われていたショーケースなどがひっそりと佇み、ここにいると、タイムスリップしたような気分になる。
“遠くから来た”という名前の由来通り、都会の喧噪から離れ、ゆったりとした時間を過ごせる空間だ。
もともと大学卒業後はゲストハウスを作ろうと考えていたテイさんたち。
では、なぜこの場所にお店を始めようと思ったのだろう?
「どうせなら、来ていただくお客様に解放感を味わってほしくて、広い空間でお店を作りたかった。そんな中、偶然今の倉庫を見つけたのでオープンに至りました。“好きなものを買って売る”ことをお店の原則として、3人で運営しています。」
気楽に来れて楽しくおしゃべりしたり、肩の力を抜いてゆるりとした時間を過ごしてもらえるようなお店でありたいというテイさん。
インテリアや雑貨は、すべてお店の運営メンバー・マオさんセレクト。
この日いただいたジャスミンチーズケーキもマオさんの手作り。濃厚な甘さと、ほのかに香るジャスミンの爽やかさがあいまって、なんとも美味しかったのです。その日にできた、最高においしい焼き菓子を提供する日替わりメニュースタイル。(珈琲と台湾茶は定番)
ティーカップは伊万里焼き、焼き菓子の器は益子焼を使っており、陶器はすべて日本の若手作家が作ったもの。
“質実剛健”という言葉がぴったりの、簡素ながらも美しい陶器たちです。
「日本伝統の器は、素材を活かした、飾らない美しさがあると思います。シンプルで綺麗。この侘び寂びにとても魅かれます。手に持ったときの手触りや、音の響き方も違うんですよ」と、テイさん。
パンはご近所の大人気ベーカリー・ペリカンからお取り寄せ。また、日本の大学では写真を学んでいたというテイさん。
お店のHPやInstagramにアップされている写真がハイクオリティなのも納得。
今年からは、カフェの空間を減らし、ギャラリースペースを拡張。イベントと器の展示を中心にやっていくのだそう。
ワークショップや映画の日を開催したりと、楽しみな予定がぎっしり!
ここで本を読みながらいただくお茶は、きっと格別。次回は本を持って遊びに来たいところ。
異国へ思いを馳せたり、旅の計画を立てたり…。インテリアや暮らしの本も。江國香織さんの『神様のボート』、吉本ばななさんの『キッチン』など、心にぽっと火が灯るような本を読みたくなる場所だ。
撮影/Chikage 文/東山サリー